《中国のクリーンビューティーブランド4選》
最近日本でも少しずつ耳にするようになってきた「Clean Beauty(クリーンビューティー)」という概念。
元々は、グヴィネス・パルトロウが設立したライフスタイルブランド「GOOP」からスキンケアラインが2016年にローンチされた際、“クリーンビューティー”も一緒に推進されたことから、欧米諸国でこの概念が浸透していったそうです。*1 *2
なんだか「元からある事象に名前がつけられた」、という感覚に近い気がしますが、実はこの概念に関する共通の定義というものは存在しません。
私が見た中で一番納得感のある説明を引用すると、*3
1) 体に害となるような成分を含んでいない
2) 自然・天然の原料を用いている
3) 環境や動物に配慮している
この3つの条件(もしくは2つ以上)を満たしているものが“クリーンビューティー”だと思われます。
似た概念である「ナチュラルコスメ」や「オーガニックコスメ」、「ヴィーガンコスメ」などとの違いは、容器や包装など、実際に肌に載せる部分以外もアースフレンドリーなことではないかと個人的に思っています。
参考に、各概念の主な定義
・ナチュラルコスメ:自然由来の成分を含むコスメ
・ミネラルコスメ:天然鉱物を主成分としたコスメ
・ヴィーガンコスメ:動物由来の成分を含まない、動物実験不実施のコスメ
・オーガニックコスメ:オーガニックで育てられた植物由来成分を配合したコスメ*4
最近は日本でもクリーンビューティを意識した新ブランドが登場しつつあります。
例えば、2020年に「athletia」(ナチュラル、動物実験不実施、バイオ容器使用)*5
「UNNATURALLY NATURAL」(ナチュラル、ヴィーガン、バイオ容器使用)*6
などクリーンビューティー系スキンケアブランドが誕生しており、
2021年には「スナイデルビューティー」(ナチュラル、ヴィーガン)
「7NaNatural」(ナチュラル、動物実験不実施、リサイクル容器使用)*7
2022年には「パースビューティー」(容器まで全てヴィーガン)*8
などのクリーンビューティー系コスメブランドも誕生しています。
(やはり、クリーンビューティーと謳っていても、各ブランドによって定義や捉え方が違う気がします。)
さて、今回の主題である「中国発のクリーンビューティーブランド」について話していきます。
まず、「RED小紅書」にてクリーンビューティー関連の投稿を調べてみると、「clean beauty」 が2千件、「纯净彩妆」は4千件を超えていました。*9
こう見ると日本と同様、まだまだ主流にはなってはいないようですが、徐々に注目されつつあるのではないかと思います。
また、色々と探してみたところ、近年中国でもいくつかのクリーンビューティーコスメブランドが新たに誕生していました。
したがって今回は、中国発のクリーンビューティーコスメブランドについて4ブランドを紹介したいと思います。
※スキンケアブランドについては今回含めておりません。
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RED CHAMBER
ウェイボフォロワー:5500人
創始者: 姜美玲
理念: サスティナブルビューティー、サスティナブルエコロジー、サスティナブルスピリット
ポイント:防腐剤不使用、リスク成分不使用、香料フリー、妊婦使用可、動物実験不実施
2月14日時点でタオバオのファンは約3万9千人。
多機能性バーム(119元:約2200円)
このブランドの面白いところは、世界の名作からインスピレーションを受けたシリーズを展開しているところ。
現時点では「ジェーンエアシリーズ」と「春樹シリーズ」を発売しており、今後は「ライ麦畑でつかまえて」、「ソフィーの世界」、「紅楼夢」のシリーズを出していく予定なのだそう。
画像の単色アイシャドウのようなものは、「春樹」シリーズのバーム。
村上春樹の「ノルウェーの森」に出てきた登場人物の名前をカラー名にしているそうです。
リップ、チーク、アイシャドウにも使える多機能性のバームだそうですが、「#猫」なんかはかなり奇抜な色をしています...これはリップにつかえるのか...?!笑
バーム自体は「固まらない」、「跡がつかない」、「ベタベタしない」という特徴を持っており、色もぼかしやすいのだとか。
ご覧のように完全版のカラー表がありますが、イエベの人やブルベの中でも濃い色もしくはくすみ系が似合う方に良さそうな色が多い印象。
「#久美子」の色のみタオバオから引っ張ってきました。
メイクに統一感を出したい時に良さそうですね。
めちゃくちゃおしゃれだけど私がつけたら芋化しそうな色味だ...。
多機能性のバームの基本成分はローマンカモミールオイル、セラミド2,3,6ii、ラベンダーオイル、となっています。
チークやコンシーラーも同じく自然由来成分が基本成分でした。
この他、4色アイシャドウパレットや、サプリメント容器のようなファンデーションも発売されています。
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Sober Beauty
ウェイボフォロワー:137人
創始者: 陳子凝
会社: 上海蜜蓓缇贸易有限公司
成立:2019年9月4日
理念:clean, effortless, mindful
ホームぺージ:https://sober-beauty.com/
ポイント:防腐剤不使用、香料フリー、鉱物油不使用、シリコンオイル不使用、石油系ワックス不使用(=敏感肌にも使える)
基本成分:マカデミアナッツオイル、キャンデリラロウ、カプリル酸トリグリセリド(ココナッツパームソース) 、ラウリン酸イソペンチル(純植物性原料油)、ラウリルリジン、オートカーネルオイル、ラブブランワックス、トリイソステアリン酸ポリグリセリル
その他:プラスチックの使用量を70%削減、FSC認証、RSPO認証、大豆インキの使用(紙のリサイクルに適している)、ECOCERTの認可成分含有
※FSC:森林管理協会(国際的な森林管理の提供を行う)
RSPO:持続可能なパーム油のための円卓会議(持続可能なパーム油製品の成長と使用)
ECOCERT:フランスのオーガニック認証機関
この記事で紹介しているどの中国発clean beautyブランドをみても、「中国で最初のクリーンビューティブランド」と紹介されているんですよね...(笑) こちらもその中の一つ。
成立年をみる限り、確かにどれも2019〜2020年あたりに誕生しています。
タオバオのフォロワーは3748人なので、先程のRED CHAMBERに比べると知名度が低そうです...。
Sober Beautyの創始者は、ロレアルとEstee Lauderで勤務経験がある陳子凝さん。
2021年に上海で開催された“2021年营销商业女性「执牛耳者」峰会暨营销商业女性执牛耳者盛典”にゲストとして出演していました。
全成分はご覧のようになっています。
タオバオの店舗内で売上No1なのはこちらのマットリップスティック(109元:約1962円)
ぱっと見ですが、どれも青み(紫み)が強い色が多い印象です。
レビューを見たところ、乾燥しない、匂いもない、付けてる感覚もないらしい。
公式画像だけ見ると硬めテクスチャーで乾燥しやすそうな付け心地に見えますが、実際はそうではないんですね...!
もう一つの看板商品は、ハイライトチーク、89元(1602円)です。
こちらには、鏡餅型のスポンジがついてきます。
このハイライトを見た時、真っ先にhinceの「トゥルーディメンション・グローチーク」とDiorの「フォーエヴァー クチュール ルミナイザー」が頭に浮かんできました。
肌に優しくて先二つよりもお手頃価格なのは嬉しいですよね。
公式写真を見た感じだと、hinceよりグロウ感控えめだと思いました。
ちなみに最近はグロスが新商品として出ていました。
このブランドは色物が可愛いので、機会があればハイライトチークを買ってみたいと思います。
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Dewylab 淂意
ウェイボフォロワー:2千人
タオバオフォロワー:9万(2022年3月5日時点)
設立:2020年
会社:上海大喂科技发展有限公司
理念:タルクや重金属などの有害化学物質を一切含まない「ユーザーフレンドリー」、動物実験をしない「アニマルフレンドリー」、環境に配慮した包装と生産を心がけた「アースフレンドリー」
ポイント:安全成分、クリーンな配合、動物実験不実施、妊婦使用可、有害化学物質フリー、2800以上の化粧品成分基準を満たす
成分:タルク、D5シリコン、アルコール、防腐剤、鉱物油、フタル酸エステル(可塑剤)などの有害物質の不使用
✍️「純粋な成分」と「優れた効果」を持つ製品のために、ケンブリッジ大学、ペンシルバニア大学、南洋理工大学に所属する研究者と研究チームを設立し、世界有数の研究開発センターなどで商品開発をおこなっています。
↓ こちらでも少し紹介しています。
今回は、タオバオで売り上げ3トップのコンシーラー、パウダー、ファンデーションを紹介します。
タオバオ内売上ナンバーワンはLunar Concealer Palette(189元: 約3400円)
こちらは専用のブラシが付いてきます。
カラーは3色展開。
中国で人気のコンシーラーの中でも圧倒的に「しっとり」していると言われていますが、それはミツロウ、キャンデリラロウ(植物ロウ)、ブラジルロウなどの天然ワックスが入っているからだそうです。(ミツロウということはヴィーガンコスメではないことになりますね)
レビューをみる限りだと、「クマを隠しきれない」や「乾燥する」という一般的に謳われている本商品の特徴とは真逆の声もそこそこあるので、効果は人によりそうです。
2色で使いやすい、乾燥しなさそう、ということから、個人的には最近一番気になっているコンシーラーです。
次に人気なのがネットタイプのMorning Mist Setting Powder(7g, 199元:約3100円)
超微粒子パウダーが皮脂を抑えてメイクをセットしてくれます。防水防汗効果はもちろんのこと、毛穴カバー力、持続力もあるそうです。
しかし、REDの口コミをみる限り、「めっちゃいい!」と言っている人と「微妙!」という意見とで両極端だと思いました😂
大半の人が良いと言っているものは高確率で良いものだけれども、コスメはどうしても合う、合わないがあると思うので、それでも自分に合わなかったら仕方ない、と思っています。
ちなみに、make up for ever の「ウルトラHDルースパウダー」が8.5gで約5千円なので、こう比べるとそこまで高くない気がしてきました(笑)
看板商品3つ目はMorning Dew Cream Foundation。
価格はなんと、349元(6282円)!中国コスメの中ではかなり強気な価格設定!😂
とにかく保湿力が高く、伸ばしやすく、粉吹もなく、持続力もあり、毛穴も隠してくれると......
唯一欠点として言えばカバー力はそこそこらしいので、元々肌が綺麗な乾燥肌、敏感肌の方が使うと良さを最大限に実感できそうなクリームファンデーションです。
以前「値段が高いくせに効果がそこまでない」というレビューを見たのですが、その人はカバー力を重視していたのかもしれません。
値段が高い!という人に対し、「肌にも環境にもクリーンな材料を使っているのだから仕方ないのでは?」とは思いつつ、確かにこれだけの値段を出すならそれなりの使い心地であって欲しい気もする...😂
とはいえ、ここまでベースメイクに強い中国コスメブランドはみたことないので、今後も注目していきたいです。
番外編-FULOVJELL馥元纪
ウェイボフォロワー:4400人
創始者: 陈欣
成立:2019年5月23日
理念:動物実験不実施、有害成分不使用、サスティナブル
成分:アルコールフリー、無香料、タルクフリー、防腐剤不使用、動物成分不使用、重金属不使用、蛍光剤不使用、鉱物油不使用、ホルモンフリー
実は最初、ブランドを紹介するかどうか迷っていました。
というのも、こちらの画像から見てわかるように、アイシャドウパレットが若干Perfect diaryっぽいかな...?と思ったからです。(色の数、ブラシの形が本家と同じ)
しかし、一応中国のclean beautyブランドに入るため、軽く触れておきたいと思います。
2月14日時点でタオバオフォロワー約5万人。
Sober Beautyと同年に会社が設立されていますが、フォロワー数は約12倍?!
単純に気になるのですが、この差は一体なんなのでしょうか。
一つ上の画像の通り、リブランディングをしたのは間違いなさそう。
タオバオの店舗で一番売れているのは3色コンシーラー(109元:約1960円)
乾燥肌に適した、しっとりしたテクスチャーだそうです。カバー力もそこそこ。
この特徴だけでいうと先ほど紹介したDewy labのコンシーラーとほとんど同じ特徴ですよね。
Dewy labと相反して、こちらはREDで情報収集をしている時には滅多に出てこないブランドです。知名度が低いからこのコンシーラーも知られていないのかな...?!
(いや、でもRED CHAMBER、Sober Beautyよりはフォロワーが多いんだけどな...)
次に売れているものは、パウダー (179元:約3200円)
カバー力はそこそこ、粉質は非常に細かくて、顔につけた瞬間に綺麗になる、と書かれているレビューが多かったです。パッと見た感じだと良いレビューばかりでしたが、なんでREDでは出てこないんだろう?
色々と疑惑が残るブランドですが、これからどうなっていくのか気になります。
終わりに
クリーンビューティー系のコスメブランドは今後もいろんな国からたくさん出てくると思うのですが、割と価格設定が高め。
そのため、ファンデーションやコンシーラーなどそれぞれのアイテムに対して、自分自身が「何を求めるのか」をしっかり理解した上で購入した方が損した気分にならずに済むのかな?と思いました。
また、自分自身も今後コスメの買い物をする時はクリーンビューティーを意識したいと思いました。(特にベースメイク)
※企業情報は企查查とタオバオで調べました。
※画像は公式ウェイボやタオバオからお借りしております。
※成分についてはまず翻訳機を使い、誤りがないかネットで調べました。しかし、私は成分の専門家ではないため間違っているところもあるかもしれません。間違っていた場合、DM等で教えていただけますと幸いです。
<参考サイト>
ヴィーガン対応スキンケアブランド「UNNATURALLY NATURAL」を展開するPORTFOLIOS、総額1億円の資金調達を実施|PORTFOLIOS株式会社のプレスリリース
ミチ&よしあき姉弟のプロデュースコスメがデビュー 「パースビューティ」からマットリップ発売
オーガニックコスメとは?その定義や選び方のポイントを解説します !|あしたの美肌|美容コラム
*1:加速する「クリーン・ビューティー」ムーブメント、完全ガイド。 | Vogue Japan
*2:WHAT’S GOOP?|goop JAPAN
*3:ビューティ業界の次なるトレンド、“クリーンビューティ”って何?ポジティブなイメージの裏に潜む懸念も - WWDJAPAN
*4:海外では石油成分を使わない、原料の95%以上がオーガニック、など認証を出す機関によって内容は異なる。日本ではオーガニック原料を少量でも含んでいればオーガニックコスメと呼べる。
*5:clean beauty | athletia
*6:Clean Beauty | UNNATURALLY NATURAL
*7:クリーンビューティブランド「7NaNatural」がデビュー エディター集団がZ世代のニーズを代弁したカラーコスメを発信
*8:Velvet Fix Lip Balm Nude Rose – perse official
*9:参考比較として「日系彩妆」は24万件、「国货彩妆」は42万件の投稿。また、纯净彩妆はクリーンビューティーのこと。
*10:BOSS直聘-找工作我要跟老板谈!招聘求职找工作!