モチベはアイドル

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《中国映画》香港製造(1997)を見た。

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香港制造(1997)


英語名:made in hongkong

邦題:メイド・イン・ホンコン

監督:陈果

主演:李灿森,严huichi,李栋全

カテゴリー:ドラマ、ラブストーリー

サイト:Amazon primeで試聴

個人評価:💙💙💙💙💙

 

 

あらすじ:

母と二人で暮らすチャウ。中学を中退し、いろんな仕事を紹介されても何一つ続かなかったが、今はヤクザの手下をしている。同時にチャウは、ロンという知的障害を持ち、いつもいじめられていた少年を助け、彼の兄貴として世話をしている。そのロンがある日、少女・サンの自殺現場に遭遇し、何気なく彼女の遺書を拾ってきた。

ロンが遺書を拾ってきて以来、様々なことが起きる。借金取り立て先の家に住む16歳のペンとの出会いや、母親の家出、大事な仲間を失う、などの経験を経て、中秋が行きついた先とは…?

 

日本語字幕内では、

中秋ーチャウ

阿龙-ロン

阿屏-ペン

阿珊-サン

ヤクザのボスーウィン

別の借金取りーチャン

 

 

 

感想:

1997年の映画。返還を迎えていた香港で生きる少年少女を描いています。

 

ボスにヤクザとしての将来を見込まれていたチャウだったが、「人殺し」だけはできないと拒否していた。そんな彼がやることを決意したのは、ペンの存在があったからだ。彼女は16歳にして腎臓病に罹っており、臓器提供者が現れない限り命はそう長くない状況で、手術費と借金返済が必要だった。チャウは母親のお金を盗んで彼女を助けてあげようとしたが、その金は僅かなもので、どうしてもボスの力を借りるしかなかったのだ。

 

しかし、「人殺し」は失敗に終わる。

実行する前からイメージは万全、あとは殺るだけでした。しかし、ターゲットである大陸から来た商売人を目の前にし、チャウは怖気づいて引き金を引くことが出来なかった。

 

人を殺すことに関する物凄い恐怖から誰も追ってないのにひたすら逃げるシーンは面白かった。

あと、計画実行前にホンモノの銃を手にし、自室で狂ったように踊るシーンはとても印象的でした。

 

その後の展開と心情の変化がめちゃくちゃよかった。

チャウは、以前、ペンの家で借金を取り立てていた別のグループのヤクザであるチャンの手下に急に襲われてしまう。一命はとりとめた。

 

一か月の入院を終え、元通りに復活したチャウ。しかし、退院してすぐにロンはボスに麻薬の運び屋としてこき使われ、しかも任務を果たせずに殺されてしまったこと、さらには、ペンは自分が入院後に病態悪化し、死んでしまったことを知る。

 

ここで、急にスイッチが入ったかのようにチャウが変化します。

あんなに人を殺すことを恐れていたチャウだったが、ロンの仇を撃つためにボスの元に行き、殺した。さらには、自分を攻撃してきたチャンをも殺しに行く。

全てを始末し終えた後、チャウは最終的に、ペンの墓の横で、いろんな人を殺した銃で自害した。

 

自害するのは意外だったが、ペンの墓の隣で、っていうのが…。

ボスにペンの件を話に行った時、「それは愛じゃない、ただヤりたいだけだろ」みたいなこと言われてたけど、この結末をみて、チャウは幼いながらに本当に愛していたんだなと思いました。あと、仇を撃つためにボスのところに乗り込むのは、元々正義感が強いチャウらしい行動だと思った。

ペンのために、その若さを武器に行動したチャウのひたむきさにグッときた。

 

 

印象的だったチャウのナレーション:ボスを殺したあと、建物の屋上にて

「今ならサンの気持ちがわかる 人は行き詰ると死を選ぶもんだ 飛び降りるのは簡単

自殺に勇気は必要ない 

・・・言うのは簡単だが 実際に飛び降りるのは難しい」

 

 

 

劇中では頻繁に「若さ」という言葉が使われていました。「若さは無敵」とか、「若くして死ねば永遠に若いままでいられる」とか…。

若いからこそ怖いもの知らずでいられるけど、その若さってとても儚いものだな…。自殺した少女(サン)も恋に悩んだ挙句死んでしまったし、、、

 

もう1つ、頻繁に出てきたのは「大陸」という言葉でした。

ヤクザのボスは大陸と香港を頻繁に行き来していたらしく、自分の言動に「これじゃまるで大陸人じゃねえか」と言っていた時が笑えました。

 

チャウがボスに命令されて殺しに行った相手も大陸人だったし、中秋の父が向かったのも上海…映画の最後で流れる毛沢東の若者に向けたメッセージなど…映画全体としては中国返還前の香港やその人々の複雑さも表現していたのかなと思ったりもしました。

 

 

 

最後にもう一つ、印象的だったナレーション :

「世界はめまぐるしく変わる 流れに乗り遅れると 自分の居場所すらなくなる」

 

この言葉はいつの時代にも重なることな気がする。

若さを無駄にしないように生きたいな…と思ったのでした