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《中国映画》人再囧途之泰囧(2012)と囧妈(2020)を見た。

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人再囧途之泰囧(2012)

英題:Lost in Thailand

邦題:ロス・トイン・タイランド

カテゴリー:コメディ

出演:徐峥 ,王宝强,黄渤

 

あらすじ

徐朗(シュー・ジェン)は研究に5年を費やし画期的なガソリン添加剤「油覇」を完成させます。彼は長期的に商品として育てようと考えますが、プロジェクトの共同マネジャー高博(ホアン・ボー)は権利を売却して収益を得るべきだと主張して徐朗と対立します。そこで彼は、会社の最大投資家である周氏の委任状を取り付けるためひとりタイに向かいます。バンコクに到着した徐朗は高博が後を追っていることに気付き、機内で知り合った風変わりな若者・王宝(ワン・バオチャン)を利用して追跡を逃れ、周氏のいるチェンマイに向かいます。実は、彼は研究のために家庭を顧みず、妻の安安(タオ・ホン)に離婚を切り出され、裁判所で待つという最後通牒を突きつけられているのでした。果たして徐朗は委任状を手にし、裁判所出廷の日までに戻れるのでしょうか……。

 

こちらの記事が分かりやすかったのであらすじ部分を引用させていただきました。

当時映画がヒットした背景なども書かれているため、是非ご覧になってください。

www.peoplechina.com.cn

 

 

囧妈(2020)

英題:Lost in Russia

邦題:ロス・トイン・ロシア

カテゴリー:コメディ

出演:徐峥,袁泉

 

あらすじ:

ビジネスパートナー兼妻の张璐(袁泉)と離婚することになった徐伊万(徐峥)。早速アメリカ商談のために出国した妻のビジネスを阻止しようと企むが、徐伊万は空港で出発直前にパスポートが無いことに気づく。

そのパスポートを持っているのは夜行列車でモスクワへ向かう母親だと分かり、急いで駅に向かい、パスポートだけ受け取ろうとしていたが、結局徐伊万も母と一緒にモスクワへ向かうことに…。

ロシア人美女との出会いや母親との喧嘩など様々なことが起こる北京からモスクワまでの6日間の列車旅。モスクワで開催される公演に母は無事に参加できるのか…⁈

 

 

 

《感想》

どちらも徐峥が主演、脚本、監督を務めた作品です。

 

後者を先に見て、その後に前者を見たのですが、個人的には前者の方が面白かったです。

同じ監督&主演なのに、どうして自分の中で生まれる感想に違いがあったのだろう?と考えてみたのですが、それは「現実味」の違いかな、と思いました。

 

どちらの主人公も、本当の目的(会社の投資をしてくれる周さんに会いに行く、アメリカに行って妻の商談を阻止する)がある中で、厄介な存在(旅先で出会った王宝、前から疎ましく思っていた母親)に行動を阻まれている。

そのため、その厄介な存在に対して強くあたったり喧嘩したりするものの、彼らが抱える苦悩(母親の認知症を治したい、酒癖の悪さで死んだ夫への思い)などを知り、考えを改めていく。という構造は同じだと言えます。

 

そして、視聴者側は厄介な存在に対して疎ましく思いつつも、彼らの事情を知って情を抱き始めたり、助けてあげる主人公に対して感情移入や自己投影をする人が多いのではないかと思います。

 

だけど両者の違うところでいうと、上記したように、フィクションの中にある「現実味」の差なのではないかと思います。

 

例えば、《人再囧途之泰囧》では主人公が歯にGPSチップを埋め込まれていたり、レンタカーで路上店を吹き飛ばしていったり、崖から落ちたりなど、「こんなこと普通起きるか?!」みたいなシーンが沢山出てきます。

だけど、それと同じくらい現実にも起きそう~な絶妙なラインの出来事(地図をダウンロード中にWifiを抜かれる、タイでは水かけ祭り期間中だったため水を掛けられてパソコンが壊れる、など)があるからまだなんとなく見れる。

 

しかし、《囧妈》では初っ端から非現実的な出来事が連発します。(進み始めた火車にしがみつく、列車の外に締め出されてしまい外で一晩過ごす※冬のロシア行き列車、大きな熊に襲われそうになる、船で結婚式をしていた人たちに助けられる、気球に乗ってモスクワまで行く、など)

 

正直、最初の方は「フィクションだしコメディだし」と割り切れていましたが、熊に襲われそうになった後からの展開があまりにも非現実的、そしてちぐはぐ過ぎて、素直に楽しめなくなってしまいました。

 

ただ、この映画は母親による最後の公演シーンのためにあるのではないか、というような気がするので(それくらい歌声がすごかった)、それまでの流れは最後のシーンを引き立たせるためだけにある茶番に過ぎないのかもしれない…。

 

あと、メッセージ性があったのは囧妈の方だと思いました。中国で一般的であろう母親像(心配性、子供を産むのを急かす、過干渉など)の背景にある彼女たちなりの思いに共感した人も多かったと思います。ついさっきまで煩かった母親が静かに息子への思いを語るシーンには感動しました。

だからこそ、少し残念というか、あそこまで非現実的にしないとコメディ要素を引き出せなかったんだろうか、と思ってしまった。

 

とにかく、コメディものは、ある程度フィクション味が強くても割り切れるものだとは思いますが、フィクションにも現実らしさがないとみるのも難しくなるのだな、と今回思いました…。

 

 

(思い返してみると人再囧途之泰囧の方もなかなかぶっ飛んだ演出が多かったので、ただ好みの問題かもしれない)

 

「人在囧途」(2010)が第1シリーズみたいなので、気になる方はそっちから見た方がいいかもしれないです。

 

 

 

おわり