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《中国映画》怪怪怪怪物!(2017)を見た。

 

 

原題:報告老師、怪怪怪怪物!

邦題:怪怪怪怪物!

監督:ギデンズ・コー(九把刀「あの頃、君を追いかけた」、「ハクション!」 )

 

あらすじ

 クラス費を盗んだと濡れ衣を着せられた優等生の林書偉は、濡れ衣を着せてきた主犯格であるいじめ集団の段人豪、廖国峰、葉偉竹とともに、先生の指示で老人ボランティアに行くことになった。

 そして老人の中にはベッドの下にいかにも大金が入っていそうな怪しいケースを隠している認知症のおじいさんがおり、4人はそのケースを盗むために夜中老人ホームへ忍び込ぶことに。

 盗みには成功したものの、おじいさんの部屋を出る直前に真っ暗な廊下から奇妙な物音が聞こえてきた。必死で建物の外へ逃げたちょうどその時、4人は車に轢かれた小さな怪物を見つける。

 最初は4人とも小さな怪物を気味悪がっていたが、一先ずいじめ集団の基地(学校のプール脇の倉庫)でそれを拘束することに。そして林書偉の調べによると、その怪物はどうやら行方不明になっていた姉妹が怪物化したもので、拘束したのは妹の方であることがわかった。

 怪物が元々人間だったことや、拘束に抗えないほど弱った姿を見るうちに、勝てると思ったのか4人のいたずらはエスカレート。怪物の歯を抜いたり、口をドリルで塞いだりとやりたい放題だったが、そうした小さい怪物へのいたずら行為をなんらかの形で知った大きな怪物(小さな怪物とはぐれていた姉怪物)が怒り始め、ついには街全体が恐怖に晒されていく・・・。

 

 

 

 

感想

一言で言うと、「この映画の登場人物は全員怪物。

※以下ネタバレを含みます

 

 

 冗談抜きに、この映画を見た誰もが、「本当の意味での怪物って誰だったんだ.....もはや登場人物全員怪物では...」と思ったはず。

 私たちが一般に想像するような”怪物らしい”見た目をした物体が2体出てきますが、元々は毒を飲まされて怪物になってしまった人間の姉妹で、人間への怒りや恨みから人間を食べる(人間の血で生きる)怪物として生息していた。

 ただ、物語内でこの姉妹怪物よりもよっぽど恐ろしいのは、「面白いから」という理由だけでいじめに加担する人や、鬱憤ばらしに怪物を殴り傷つける人、いじめをエスカレートさせるクラスメイト、気に食わないからと言う理由で先生に怪物の血を飲ませて殺してしまう人、面白がって燃え上がる先生の写真を撮る学生たち、いじめを目の当たりにしていても止めに入ろうとしない先生…など、だと思う。

 あとは、拘束されて弱っていた小さな怪物に、自身の血を輸血までして延命させていた主人公(いじめられっ子)の林書偉も、最後の最後になって心の中の怪物を露わにしていた。優しそうに見えて、"最悪の偽善者” と言う意味ではこの人も怪物に近かったと思う。

 

 とにかく登場人物のほとんど全員が人間性の面で怪物的。もはや怪物とはなんだ?と考え直さずにはいられないほどのゲスさを持ち合わせている。こうした人間たちの多くは、物語の中で(見た目だけの)怪物によって成敗されるのでスッキリするけれど、それに至るまでに起こる数々の事件がとっても不気味で、グロくて、気分が悪くなる。

 

 正直なところ、もし話の内容を知っていたら、見ようともしなかった作品だと思う。

 

 俳優たちによる"異常な人間"の演技がうま過ぎる、というのも気分が悪くなった要因だと思う(笑) でもむしろ、こうした人間の薄暗い部分を大胆に、振り切って演じさせていたことにより、この映画のホラー度が増したのだろうと思う。

 いじめっ子の主犯格である段人豪は怪演だった。不快感MAXのウザ演技は他の人にはできないだろうなぁ…。

 

 

 

 スイカジュースが作られる過程と、スクールバスの中で怪物によってもみくちゃ、血まみれになりながら皆殺しされていく様をシンクロさせていたシーンは見所。

 スイカがミキサーで潰れていく姿を、人間の血に見立てようとした発想が面白かったし、そのスイカジュースを注文してニコニコしているのがいじめ主犯格であり、怪物を怒らせるきっかけを作った段人豪。さらに彼にスイカジュースを買うように頼んでいたのが、もみくちゃにされたスクールバスに乗っていた彼の彼女っていうのが超皮肉で面白い。

 いや……おそらくこう文字で説明しても訳わからないと思うので、気になった方は実際に見てみてください(笑)

 

 ちなみにこのスクールバスのシーンでは、「我的少女时代」の宋芸樺や、「那些年,我们一起追的女孩」の柯震東が出ていたらしい。宋芸樺にはすぐ気づいたけれど、柯震東はわからなかったなぁ…。そう言うところにも注目してみても面白いかもしれない。

 

 同監督作品「那些年,我们一起追的女孩(あの頃、君を追いかけた)」があまり好きではなく、全く期待していなかったが、その分面白く感じた映画だった。

 

 あんまり期待せずに、グロさを覚悟してみると、楽しめるかと思います!