《リスクを背負ってオタ活に行くこととは》
先日、約2年半ぶりに韓国に行ってきた。
「韓国に行くのは、コロナがもう少し収まってからでいいや」
私は今年の5月ごろはそう考えていた。
この考えをいとも簡単に捨てさせた1番の要因は、アイドル。
今回はNCT DREAMのコンサートを見に行くために渡韓した。
コロナで2年以上コンサートに行けなくなり、家の中で悶々としていた頃。
Beyond liveや過去のライブ映像を見て「この熱気と興奮を生で味わいたい」と久々に胸が踊ったのが、NCT DREAMだった。
このことをきっかけに、「コンサート開催が決まればどこでもいいから行こう」と心に決めたのだった。
6/23にコンサート開催が告知されてからは、一瞬の迷いもなかった。
チケット代行業者探しからフライト確保、SIMカード調べまですぐに始めた。
とはいえ、航空券を確保する直前、「もしいけなくなるとしたら」という不安が頭を過ぎったのは事実だ。
しかし当時はコロナが収まっていくような雰囲気があったし、新型株もでてきていなかったため、「まさかそんなことは起きないだろう」と自分に言い聞かせた。本当にもし、行けなくなることが起きるとしたら、「コロナ感染者が爆発的に増えて、コンサートが中止になる場合に限るだろう」と考えていた。
ところが丁度7月に入ってすぐの頃から、雲行きが怪しくなっていった。
新型株が爆発的に流行り始め、それに伴い韓国入国後のPCR検査期間は短縮。とうとう自分が韓国に入国できるかどうかで毎日気を揉む生活が始まった。
さらなる問題は、出国前PCR検査を受けた7/25のことだった。
私は空港でPCR検査を終え、あとは陰性の結果を待つのみという状況の時。
Twitterに流れてきたのは、マークのコロナ感染とコンサート不参加の知らせ。
衝撃的な一報に戸惑いつつも、だからといってここで延期になってもらったら困る、というのがその時感じた正直な気持ちだった。
もちろん7人の姿が見たかった。だけど自分がコンサートのために費やした時間、お金、労力を考えると、6人で決行出来るものならやってほしかったのだ。
そしてこのとき、もう一つ頭をよぎったのは、「ロンジュンは大丈夫だろうか?」という懸念だった。まだコロナにかかったことがない上に、普段からマークと距離が近く、頻繁に交流していた。そのことを思い出し、「どうか、ロンジュンは罹らないで」と、心のなかで願い続けていた。
そして、出国日である27日が来た。コンサートまであと2日。
マークのコロナ確定から2日経っていたし、さすがに開催2日前でコンサートがキャンセルされることは無いだろう、と思っていた。
しかし、入国後のPCR検査結果が出た30分ほど後に、コンサート中止が告知された。
航空券を買うときに過ぎった嫌な予感は、当たってしまったのだ。
最初は「マジ?嘘でしょ?」という感想しか出てこず、本当に現実に起こっているのかどうかさえも分からなかった。
ところが渡韓勢として仲良くなった人たちのツイートを見るうちに
友達が家に帰ってきて「コンサートが中止になった」と自分で言葉にした瞬間に
これが現実に起きたことなんだとようやく頭で認識し、涙が溢れ出した。
得られるはずのものが、目の前で消えていくことの虚しさが
費やしたお金と労力が無駄になってしまった事実が
とてつもなく切なかった。
少し落ち着いてから、「この時期に海外コンサートに行くと判断した自分は間違っていたのか」と何度も考えた。
今浮かぶ答えは「YES」と「NO」、両方だ。
まず、「YES」と考える理由について。
もしコロナが再度爆発的に流行し始めたら?
メンバーが万が一コロナになったら?
自分自身がコロナになって、隔離を強いられたら?
もし全てキャンセルになったとして、そのお金は?
こうした「もしも」が頭に過ぎることはあっても、「でも今の状況から予想すると大丈夫」、「私は運がいいから大丈夫」と自分に言い聞かせ、考えないようにしていた。
渡航する前から最悪の事態について熟考していれば、お金がそう十分にあるわけではない私は、リスクの大きさを懸念して、おそらく渡韓を控える決心をしていただろう。
また、精神面を考えても、この時期に行くと決めたのは間違っていたかもしれないと感じている。
なぜなら、コンサートまでの約3週間の間、常に出国前/入国後のPCR検査で陽性になってしまうのではないかという恐怖心で精神を消耗してしまっていたからだ。
これでは、コンサート最大の魅力であり本来得られるはずの、ワクワク感、生きがい、心が躍る感覚が得られない。
どうしても行きたくても、もう少し我慢してみる。
そんな考え方があってもよかったのではないかと思う。
一方で「NO」だと考える理由は何か。
それは、「行かない方が後悔していた」と思うからだ。
YESと少し矛盾しているが、とても単純な理由である。
私は「努力次第でできるかもしれないこと」「心の底からやりたいと思ったこと」は後悔せずにやってみることをモットーとして生きており、今回は行かない方が後悔すると思ったのだ。
今回、考えるのも嫌になる程たくさんのお金を水の泡にしてしまったが、それでも結果的に渡韓そのものは楽しめたので、行ってよかったと思っている。
ただの結果オーライじゃんと思われるかもしれないが、その通りである。結局のところ、仮に渡韓しないことにしていたら、生きる気力を失って毎日死んだように生活していたと思うので、それよりはマシだと思っている。
しかし、やはり上記した通り、今回はもう少しコロナによって発生しうる最悪の事態に対する対策をしておくべきだったと反省はしている。
例えば、コロナ前の渡韓時には絶対に入ることがなかった保険に入ったため、「現地でコロナに罹ってしまった場合にかかるお金」の対策はできていたと思う。
しかし、旅行日程とコンサートチケットの手配方法については改善の余地があっただろう。
まず、私は安い航空券を軸に、旅行日程を6日間に決めた。
しかし、コロナ禍における渡韓では、一回のPCR検査に約7千円かかってしまうので、入国と出国で検査結果を併用できる2泊3日か3泊4日にするべきだった。
こうすれば出費とエアキャンセル、もしくはコンサートがキャンセルされた場合のリスクを最小限にすることができた。
また、チケットに関しては、グローバルパッケージなど「主催者側の判断による中止」の際に全額戻ってくる方法で行うべきだった。
コロナが収まりつつある時期だったとはいえ、感染病などが流行っている時期には自分の損害を最小限にできる方法を検討する必要があったと感じている。
(グロパ参戦でもし自分がコロナになってしまったときのリスクと、代行チケ参戦で主催者側による中止だった場合と、どっちの方が損が少ないかという話になってきますが...)
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この記事を書いていたのは8月ごろで、編集しているのは今年2度目の渡韓を終えた9月中旬。
一度中止になったコンサートに無事に参加し終えて思うことは、「その時々の状況によって最適な判断が何かを見極める必要がある」ということだ。
例えば、7月であればPCRの負担が重すぎるため渡韓しない選択肢もあったのではないか?と思ったが、現在は韓国入国前・日本帰国前のPCR検査が廃止されているため話が異なる。
またチケットに関してもメンバー全員がコロナにかかった状態であるため、今回は主催者側による中止の確率は格段に減ったと考える。(台風が一瞬心配だったけども)
したがって、もし自分がコロナになった場合の損害を最小限に抑えられるであろう、代行チケットを選んだ方がいいと判断した。
きっとこの、先を見越した最適な判断が何事においても一番難しいことなのだと思う。
でも私は今回の経験、「リスクを背負ってオタ活に行くこと」、「予想外の事態によって大金を溶かしたこと」を経て、難しいなりにまず熟考してみることが大事だと、学ぶことができたと感じている。